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今だからこそ 67  四日市萬古焼史 写真


カラー写真解説 1〜10

 

 

今回から萬古焼史の巻頭の写真と、その解説を掲載することにいたします。

写真は、本文を書きました折にその都度アップしましたが、その写真の解説は本文を誤読する懸念から、記載いたしませんでした。

ここで再度写真を見て見たいと思います。解説付きです。

 

 

写真1古萬古(江戸中期) 

 

   赤絵竜文盛盞瓶 H25cm

古萬古では赤絵の盛盞瓶が特に有名である。盛盞瓶の器形はペルシャ(イラン)で生まれ、元代に中国でも行われるようになり、明朝嘉靖年代には立派な金襴手の盛盞瓶も出来て、室町時代には日本でも大いに賞玩された。古萬古の盛盞瓶写したものであるが、成形の見事さは抜群で、我が国ではほとんど他に類を見ない。また意匠にも特色があり、地紋には時計を伝えた更紗文様が施され、間取りの窓絵には多く中国風の山水文様が行われた。図示のものは、やはり中国風に倣った竜文が描かれている。蓋の狛犬の摘みも可憐。

 

 

 

 

 

 

 

写真2 古萬古(江戸中期)

    赤絵窓山水文盛盞瓶 H16cm

前図が竪長なのに対して、これは平ための形であるが、ことに注口と把手の成形が巧みである。更紗文様の赤絵地紋に窓絵は中国風の山水文様である。首の剣先文も中国風である。古萬古の赤絵盛盞瓶としてはもっとも通有のパターンであるが、意匠の要素には中国風のものも交えながら、総体的には一種の異国情緒を醸し出している。

 

 

 

 

 

 

 

写真3 古萬古(江戸中期)

    赤絵霊鳥文盛盞瓶 H17cm

赤一色だけによる赤絵である。窓絵の霊鳥は怪魚とも見られるものでともかくモチーフとしては変わっている。

 

 

 

 

 

 

写真4 古萬古(江戸中期)

    赤絵窓山水文銚子 H14cm

赤絵地紋に窓絵は中国風の散水文様、蓋の文様は更紗文様、口辺は雁木文様である。

 

 

 

 

 

 

写真5 古萬古(江戸中期)

    青磁藍絵牛文銚子 H17cm

 

総体政治で、胴の窓絵には曳牛の藍絵、蓋の一部には赤絵の更紗地紋があり、摘みは狛犬である。萬古の青磁は銅呈色である。

 

 

 

 

 

 

写真 6 古萬古(江戸中期)

     赤絵麒麟文花生 H29cm

 

口辺や首の付根NO意匠は、通有の萬古パターンであるが、膨らの麒麟文は中国物からの取材だろうが、珍しい。この花生の底には、珍しく二種の印が押されている。

 

 

 

 

 

 

写真 7 古萬古(江戸中期)

     赤絵斗雉文雪輪手鉢 D24、5cm

 

雪輪鉢も盛盞瓶と並んで、古萬古の特色をなすものである。いずれも古萬古陶技の妙を語るものである。見込みは唐児たちが斗雉を見ている図で、南京赤絵を写したものであり、周縁雪輪の部分は赤絵の更紗地紋である。このほか輪花の手鉢には、インコ、孔雀を描いた佳作がある。不思議なことにこの鉢には印が無い。

 

 

 

 

 

写真 8 古萬古(江戸中期)

     赤絵窓山水文雪輪鉢  D20cm

赤絵の更紗地紋に中国風の山水文様である。口縁内側の赤絵は効果的である。

 

 

 

 

 

写真 9 古萬古(江戸中期)

     赤絵唐児象文小鉢             

古萬古の意匠には、更紗文様がよく地紋に使われ、いったいに異国趣味の気分が濃いが、この鉢にも象がモチーフになって、異国的な情調をそそっている。このほかインコを描いたものもある。(林コレクション)

 

 

 

 

写真 10 古萬古(江戸中期)

      赤絵手付盃 H5cm   青磁赤絵手付盃 H4cm 

共に手付盃で紅毛の洋盃を真似たものである。見込みにも西洋の草花文が描かれている。

(林コレクション)