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今だからこそ36 (八)四日市萬古焼 7明治期の四日市萬古焼の製陶法 2


(3)手捻り成形

 イ、ひねり出し成形

   手捻りひねり出し成形による急須の類の明治二十年ごろまでの作品は、粘着力の強い垂坂山の白土を使っており、その特質を充二分に活して紙よりも薄いかと思われる程のものが遺っている。山中忠左衛門の勧めによって、腕を競った当時の人達の技の冴えは驚異的であった。明治末年となると材料が変わり、技も下向したのか雅味に乏しくなった亊は残念である。

 この作業は、手もみした適量の杯土を手に持ち手の平で丸め、少しづつ押しつぶすようにして成形して行くものである。指先の圧力で均一な厚みに成形して行く技法は一朝一夕で為し得るものではない。熟練に加うるに、均整のある成形には、陶工の天分が必要であった。明治前半の手捻り工の努力と天才を高く評価すべきである。これこそ明治四日市萬古焼の華と言うべきであろう。(挿絵25)

 

 ロ、ひも作り成形

  主として花器、ツボ、鉢、置物等の大物成形の法である。手の平で長い紐状にした杯土を螺旋状に巻き上げながら両手で厚さの平均を取り、すき間の出来ないように成形していく法である。明治の四日市萬古焼では花器、つぼにこの法による優作は少ない。動物、人物等の造型品には確かな作品が遺っている。また、このひも状のハイドを篭編みした鉢などの作品がある。

 

(三) 素地模様付け工程

   成形された素地に上絵によらない装飾の法は実にたくさんある。明治時代に色々と開発されたのである。

(1)透かし紋 大きなものは小刀で削り、小さなものはポンスによって透かしぼりする。

(2)びり 回転するロクロの上で胴の表面を飛びカンナにより刻む模様。

(3)千筋 回転するロクロ上で、胴の表面にカンナの先端で一本づつ等間隔に細かく筋ぼりする法。

(4) 亀甲 短い小刀で亀甲模様に削り取る。

(5) 松皮  回転するロクロ上で胴の表面に、柔らかいハイドを少量指先に付けこすり付ける。

       その上を木の葉で軽くなでる。松皮に似た模様。

(6) 石目 回転するロクロ上で胴の表面に、ローラーを押し付けて石目模様を作る。

(7) 虫くい 針の先で虫喰いのような模様を作る。

(8) 張り付け 模様された杯土を張り付けたり、木の葉を張り付けたりする。

(9) 彫り 彫刻刀を使って花鳥、四君子、山水、漢詩等を浅彫り、深彫りをする。

(10)ちぎれ線筋 ロクロ上で細い針金の曲げた先端を表面に当て、細い線をつける。

(11)櫛目 櫛によって付ける模様。

(12)印花 陶印、木印、石膏印などによる紋様。

(13)化粧掛け 白色となる化粧土を掛ける。

(14)どべたたき 成形した素地の軟らかい時にタンポン又は筆により杯土の泥状のものを表面に叩き付ける模様。

 

 

(四)仕上げ乾燥工程 

 この段階に於いて、特記すべき事は急須の茶こしのことである。茶こしは木型成形の場合「たたき茶こし」といわれる方法で茶こしに当たる箇所をたたいて分子を均一にし、ポンスで穴を開ける。古い時代のものは丁寧に少しの狂いもなくシンメトリーにあけられている。手捻り、ロクロ成形の作品は「胴抜き」の法による。これも茶こし部分をポンスであけるのであるが、茶の葉の密着による茶湯の出の悪くなる事を考慮して、内部に極端な返り(バリ)を残したものが多い。機能を考えた巧まざる知恵である。この機能を重視して明治二十八年(1875年)ごろより「はめ茶こし」(又は付け茶こし)が考案された。これは胴にコンパスで穴を明け、その部分に別にあつらえた半球状の茶こしを付ける法である。

 次に蓋合わせの皇帝であるがロクロ整形の場合は、削り等で調整する。これが完全でないと焼成過程でひづみが生ずる。木型、手捻りによる場合は一箇所以外では蓋の取れない工風をしている。これは、四日市萬古焼の木型、手捻り急須の自慢の箇所であった。

 

 

(五)素焼工程

  ほとんどが、一度焼きである為、素焼は行われなかった。

 

 

(六)施釉工程

  他所の土に依るようになると、施釉ものが多くなった、錦窯による上絵の華麗な装飾をする場合は施釉が施された。

 


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